学生という名の不可解

『立場』の話がしたい。この記事は、誰に届くことも期待していない私の主張である。


人間は、大抵どこかのコミュニティに属している。もちろん複数人が集まっているはずなので、その人々には何かしらの立場がある。「〇〇さんは専門職の資格を持っている」「〇〇さんは課長」のような、誰かしらに認められた立場の人もいるし、「〇〇さんは優秀」「〇〇さんは面白い」などという、客観的だがふわっとした評価により一定の立場を獲得している人もいると思う。読者様にも、きっとそう言われて思い当たる〇〇さんはそれぞれに存在しているだろう。

人間社会における立場というのは、必ず自分以外の誰かが認めないと成り立たない。日商簿記検定の"資格を持っているから"経理に詳しい、周囲が"信頼しているから"集団をまとめるリーダー的存在だ、など。どれも自称するだけだと、さほど意味がない。しかし"~だから"があるから、その人に立場があり、立場相応の役割が与えられる。


では、この"~だから"が共通認識として機能していなかったら、どうだろうか。例えば、「TOEFL iBTで80点(英語の試験、得点率66%程度)だから、」と言われたら、その後に続くのは「英語の仕事を任せられる」なのか、「任せられない」なのか。「海技士を持っているから、」に相応しいと言える役割は何なのか。少し例を考えるだけでも、些細とは言い難い問題があることに気付くと思う。


早速タイトル回収をしよう。「彼は学生だから、」という呪いの言葉についてである。

"学生"という立場について

"学生"というと、どのような立場の人間を想像するだろうか。きっと、いや、確実に、人によって認識が異なると思う。

主張を明らかにする前に、まずは定義を明らかにしようと思う。"学生"とは、"学校(とりわけ高等教育機関)に入学して知識を学んでいるもの"とされている。高等教育機関とは、短大、大学および大学院のことである。専門学校生は"専門学生"というらしい。近年は、おおよそ8割の日本人は学生という立場を経験しているらしい。ただ、これが良くない。

人間は、自分が見たもの、知っているもの以上のことについて思考するのが難しい。だから、この"学生"という言葉を聞いても、自分とその周りの人間の事情、良くて親戚の境遇を思い浮かべるのが精一杯で、自分の身の周りの人たちが普通だと思ってしまう。それを逸脱した人間のことを考えるに至らない。これを必ずしも悪だとは思わない。ただ、一瞬でも慮る程度の余裕は持ち合わせたい。

私は、先日アラサーと言われる年齢に片足を突っ込んだ。しかし、社会的な立場としては学生だったもので、立場相応の待遇を受けたといえば受けたが、納得できるものは本当に稀有だった。それもそのはず、上位の立場の人々からすれば、「こいつは"まだ"学生だから、」なのである。ただ、今の世の中、上位の立場が知る"学生"というのは、せいぜい大学生で、本人が経験しているのは高校生まで、なんて人も少なくない。そこに登場する"学生"に、"だから"なんて言えるほどの妥当性は無い。「秋だからアイスを食べる」くらい意味不明である。これは食欲の秋ではなく、さながら暴食の秋である。もちろん立場を見誤っているので、妥当な評価などできるわけもない。しかも、タチが悪いことに、「学生なんて世間知らずの半人前だから、そいつの意見など聞くに値しない」などと本気で思っている。思い上がるのもいい加減にしてほしい。厚顔無恥という言葉がよく似合う。世間知らずはどっちだろうか。

『立場』についての主張

半分愚痴のような文章になってしまった。閑話休題。『立場』というのは、周囲の人間が与えるものである。自分ひとりしかいないのに、立場なんてものが成り立つわけがない。以前にも「人間社会に必要とされているのは"席"であって本人ではない」みたいな記事を書いた。それに近い話である。

flaremonade.hatenablog.com

誰かが座席を用意し、その人がそこに相応しいと評価されるから、その人があてがわれる。ここで注意しなければならないのは、その席にいるときにしか、その立場での経験は得られないということである。すなわち、縦社会がちらつく以上、上司であるあなたが、「じゃあ君、これやってみようか」と立場を与えてやらない限り、その彼はいつまでも次のステップでの経験が積めないのである。過小評価が彼の成長を妨げることを忘れてはならない。「学生だから、」と周囲が立場を決めてしまうから、"大人の"話に入れてもらえない。だから、いつまでも学生ロールプレイをさせられる。「本人が殻を破る」などというのは、自由度がある段階での話であり、学生ロールプレイの先にしかない。ステップアップには、スプラトゥーンの昇格戦のような、モンスターハンターの緊急クエストのような、そんな仕組みが必ず必要である。

ただし、この"立場ロールプレイ"は、若手ばかりが強いられているものではないことを誤解してはならない。健全な縦社会でこそ、どうやら"上司ロールプレイ"、"中間管理職ロールプレイ"なるものが行われているようだ。ロールプレイというには番外戦術が多い気がするが、その境界はどうせ曖昧な方がいい。その立場には、自由度と、それに見合った責任の重さの違いくらいしかない。そして、ここにおいても、過大評価が彼の尊厳を壊してしまう可能性がある。結局、社会に生きる人間が他人の評価から解放されることはないのである。だからこそ、色眼鏡がある不確かな『立場』なんてものに捉われずに適切に評価する眼が必要かもしれない。「えっ、(この程度の)こいつがこの資格持ってるの?これで?」となったことがあるあなた、つまりそういうことです。

おまけ: この記事を書くに至った経緯

最後に、私がこの記事を書くに至った経緯でも書いておこうと思う。簡単に言うと、"学生"という身分の幅の広さを知ってもらいつつ、あわよくば後輩の待遇を改善したいという思いからである。

私は先日、大学院の博士課程を修了し、学位の最高位である博士号を取得した。高校卒業後、同級生が次々と社会人になっていく中、大学の学部生(4年)→修士課程(2年)→博士課程(3年)の合計9年間にわたる学生生活を経て、学問的な意味で研究者としての免許といえるような、国際的なお墨付きをいただいたのである。海外の場合、敬称が"Mr."ではなくて"Dr."になります。9年間も大学に残っていたというと、「勉強が好きなんですね(呆れ)」のように言われるが、これは少し違う。大学院は研究をするための機関であり、企業の研究職や研究所とほぼ遜色ない働きをしている。

最近は、日本の研究力が落ちているというニュースを頻繁に聞く。その要因として、文部科学省は次のように述べている。

近年、研究力を測る主要な指標である論文指標について、国際的な地位の低下が続いています。文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査によると、2000年代前半以降の日本の大学の論文数の停滞要因として、教員の研究時間割合の低下、教員数の伸び悩み、博士課程在籍者数の停滞、原材料費のような直接的に研究の実施に関わる費用の停滞といった要因が挙げられます。

大学院に5年間もいた人間からすると、ここに挙げられている要因4つは、すべて金の問題に帰着するように見える。もう少し譲ると、大学院生(特に博士課程)の在籍者の停滞である。その理由を説明しよう。

  • 教員の研究時間割合の低下: 学生に対する所属教員人数が少ない。そのため、学生の面倒を見るのに忙しくて、自分の研究に時間を割けない。また、事務作業も自分でこなさなければならない教員も多い。これは、新しい教員や事務員を雇う金が無いからである。
  • 教員数の伸び悩み: 上の項目でも教員人数が少ないと言ったが、この通り、そもそも教員になる絶対人数が少ないのである。これは、薄給のくせに将来が保証されない不安定な雇用体系にある。研究をする教員になるには、基本的に博士課程に進む必要があり、その後、研究室を転々として、(博士課程、助手→)助教→講師→准教授→教授と登り詰めていくことになる。ここまで時間と金と生活をかけて進む先が薄給かつ不安定とは、あまりに割に合わない。そんな道を進みたい物好きに溢れた時代は既に終わっている。
  • 博士課程在籍者数の停滞: 大学の研究室に入る人は、必ず博士課程の存在を知ることになると思うので、認知度については問題ないと思う。修士課程の学生が博士課程まで進まない理由は、金銭的にも将来的にも不安しかないからである。私の分野の人でさえも、博士課程に進むよりも一般企業に就職した方がいい生活が送れる期待値は高いだろうと私でさえも思う。
  • 原材料費のような直接的に研究の実施に関わる費用の停滞: これは金の問題そのもの。

私は、国の研究力の低下は、テクノロジーで推し進める現代においては由々しき事態だと思う。パッと思いつく話では、他所が特許を持っていると、その技術を使うのにお金を支払う必要がある。つまり、金銭的に損をするので、最先端の研究が行えるに越したことはない。だから、研究力強化のためにも研究者の卵である博士課程に進む人が増えたらいいと思う。だが、現状の博士課程は、どう勧めてもアピールポイントに乏しく、しかも無責任でしかない。したがって、博士課程の待遇改善を望んでいる。

博士課程の待遇改善の方法は、多く議論されている。私は、どうやっても金が動かないと改善は無いと思っているので、世間が「研究者(博士課程や博士号を持った人)は好待遇で然るべき」という認識になる必要があると思う。いや、好待遇とまでは言わなくても、もう少しばかり待遇を上げてもいいのでは?という認識になってほしいと思う。そのためには、博士課程やら博士号やらという立場を適切に評価してもらわなければならない。その評価の上で現状が適切とされるなら、きっと現状が妥当なのだろう。国の研究力低下も甘んじて受け入れるしかないということだ。

ここに博士課程の現状を書き連ねることも考えた。認知してもらうには、アカデミックなコミュニティ以外で叫ぶことにこそ意味があるはずだからである。しかし、こういう記事は往々にして真のターゲットにこそ届かないものだ。難しく書いたところで、真面目に読む人も少なかろう。だから、「こんな人もいるらしいよ」程度に知ってもらえればいい。その気持ちが、この記事を書くに至らせた。

最後に、この章の主張を箇条書きでまとめてみる。ここだけ読めばいい。

  • 国の研究力が低下している。
  • 研究力強化には、研究者および研究者の卵の人数が増える必要がある。
  • 研究者および研究者の卵の人数を増やすには、待遇の改善(特に金銭面)が必要。
  • 待遇の改善には、適切な評価が必要なので現状を知ってほしい。
  • ここに現状を書き連ねると長くなるので、「研究者って未来を担っているのに、卵の段階から待遇が悪いらしい」程度に知ってもらえればいい。

博士課程にもなると、よく知られる学生とは境遇が大きく異なるほどの年齢なので、本当に人それぞれの学生生活がある。(博士課程中に結婚して出産してる方も珍しくない。)だから、私がここにたくさん書いても、それが必ずしも参考になるとは限らない。きっと一般的ではないと思う。ただし、もしも読者様の中に博士課程に興味がある人がいるのなら、私は協力は惜しまない。

AIの記事

昔から問われる命題に、次のようなものがある。

『もしもこの世に自我がある人間が自分だけだったとしたら、それを証明することができるか?』

例えば、あなたの隣の人が、実はあなたの感情に合わせて反応を返してくれるように設計されたロボットだったとする。その時、あなたはそれをちゃんと否定することができるだろうか。僕は、それはきっととても難しいことだと思う。そして、これから先、それを否定するのはもっと難しい時代になると思う。



最近、とあるAIが流行っている。どうやら質問を投げると、なかなか正確に、しかもかなり自然な文章で答えてくれるという。少し驚いた使い方としては、勉強を教えてくれるとか、プログラミングやパワーポイントの資料作成を代行してくれるとか、さらにはメールの代筆なんかもできるという。その名も、"ChatGPT"。そして、今回筆を執ったのは、その後すぐに登場した"GPT-4"が、恐ろしく高性能であるとの噂を聞いたからである。ちなみに、今挙げた2つのAIは、ブラウザ上から誰でも使用することができるようだ。この記事の冒頭に挙げた例でも、昔なら『隣の人はロボットってこと?ドラえもん?』などと問い直されただろうが、今では『隣の人はAIってこと?』と言われるに間違いない。それほどAIというものは世の中に浸透している。このブログの読者にはポケモントレーナーも多いと思うが、現時点での最新作『ポケモン スカーレット・バイオレット』にもAIのキャラクターが登場したことは記憶に新しいだろう。



さて、ブログの題にもある通り、この記事ではAIの話をしたい。もっと言うと、僕は僕の数少ない友人がAIではないことを証明したい。ということで、まずはAIについて明確にしようと思う。ただし、工学の専門用語を並べただけのブログ記事はあまりに無価値なので、若干の不正確さを覚悟して親しみやすさ重視で書いてみることにする。念のため記しておくが、このブログには文献的な価値は無い。だから、参考文献も引かない。井戸端会議程度の、眉唾なものだと思ってほしい。ただ、僕も一応はこの"畑"の人間であることは追記しておく。

AIという言葉を検索してみると、こんな文言が出てくる。

"AIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略です。コンピュータがデータを分析し、推論(知識を基に、新しい結論を得ること)や判断、最適化提案、課題定義や解決、学習(情報から将来使えそうな知識を見つけること)などを行う、人間の知的能力を模倣する技術を意味します。"(KEYENCE, IoT用語辞典, 一部抜粋)

唐突だが、僕はAIという言葉が嫌いである。なぜなら、そのAIという言葉自体はふわっとした意味しか持たないくせに、最先端のすごいものに聞こえるという狡さを持っているからである。上に抜粋した文言を見れば、『コンピュータでデータを分析して人間の知的能力を模倣する』ものであると分かる。しかし、この『データ』も『人間の知的能力』も、何を指しているのかがどこも明確ではない。家電の広告で『この商品はAIを使っています』なんて言おうものなら、『この料理には野菜が入っています』くらいのアバウトさしか得られない。それに、上の文言は巷で聞くAIとは意味が違う気もするが...。まあ要するに、そんなものを野放しにしていいはずがないということである。


もっとAIというものを明確にしたい。そうしないと、数少ない友人がAIではないことを証明できない。AIには種類があって、それぞれ異なる特徴を持っている。ということで、実際に今のAIに使われている技術を大別して列挙してみる。とは言っても、専門用語は並べないと約束したので、ゲームに例えてちょっと変な書き方をしてみる。どれが何を言っているか分かる人は、僕の表現能力の限界がここだということで許してほしい。なお、実用的には、複数種類の合わせ技なんてこともあるらしいが、話がややこしくなるので、一旦考えないことにする。

  • 廃人型
  • 実況動画視聴エアプ型
  • TAS型

それぞれを解説していく。まずは廃人型。これは、とにかく試行錯誤を繰り返して最適解を見つけるというものだ。クリアすれば報酬を得て、リスクが高まる行動や失敗をするとペナルティが与えられる。例えばポケモン対戦の場合、相手のポケモンを倒したら報酬を得て、こちらの手持ちが倒れたらペナルティが与えられる、みたいな感じだ。この報酬を最大化してペナルティを回避するように試行錯誤する。これは、ボードゲームの対戦CPUや信号機を使った交通網の整理、掃除ロボットなどに使われている。

次に、実況動画視聴エアプ型。これは、実践はせずにとにかく情報を集めて、そこから傾向を見出すものだ。上に挙げたIoT用語辞典の説明はこれのことを言っていると思うのだが、その通り強力で実用例も多い。音声や画像の識別(声紋認証や顔認証など)、Amazonの広告などが身近な例である。実はこの項目は、その視聴した動画の試合に勝敗をラベル付けするかとか、その関連動画まで勝手に漁るかとか、もっと類別するべきなのだが、分かりやすさのためにここで断念した。

最後に、TAS型。どのタイミングでどんな操作をすればどう反映されるかが分かっているため、その最適な操作を常に与え続ける方法だ。一見「最強じゃん!」と思うかもしれないが、向き不向きがはっきりしているというのが正確なところだろうか。上のふたつとは少々毛色が違うが、僕はこれが一番スマートで好きだ。自動車の運転やロボットの手先を動かすのに使われている。


以上でAIを何となく知った気になったので、さっそく友人がAIでないことを証明したい。簡単なところから考えよう。まず、TAS型は無理だと思う。もしもその友人がTAS型なら、その友人は全知全能である必要がある。彼は少なくともゼウスではない。次に、廃人型は難しい。なぜなら、その友人が廃人型AIなら、何が報酬とペナルティのトリガーになるか分からないはずなので、試行錯誤の末に大事故を起こす可能性があるからだ。今のところ、突然致命傷を負ったような話も聞かないから恐らく違うだろう。最後に、実況動画視聴エアプ型。これは難しい。エアプでないことを証明する方法なんて見当すらつかない...。昔から言われている命題なので、証明するのが難しいのも当然なのかもしれない。



さて最後に。この記事では、AIを少し分かった気になれそうな話をした。AIについて、少しでも興味を持っていただけたら幸いである。AIについて詳しい方々にとっては退屈な記事だったかもしれないが、その辺に転がっている記事なんてそんなものだと割り切ってほしい。

それにしても、いい時代になったものだ。この程度なら専門性を要する内容でも簡単に調べることができる。インターネットを覗けば、誰かが情報を与えてくれている。それを拾っていい感じに編集すれば、誰だってそれなりに自然な記事を書くことができる。今の時代、画面の向こうで筆を走らせているのが人間とは限らない。

思い付きで作ったパウンドケーキがおいしかった

檸檬茶です。タイトルの通りです。

材料

参考にしたレシピは、

富澤商店: 基本のパウンドケーキ: https://tomiz.com/recipe/pro/detail/20171010174126

です。冷蔵庫にあったもので作った(特にバターが足りなかった)こと、楽をしたかったこと(特に卵)から、材料が少し変わっています。

(牛乳パックを型に加工します。1本分)
  • バター          40g
  • 上白糖          80g
  • 生クリーム        60g
  • ラム酒        大さじ1
  • 全卵         110g程度(2つ分)
  • 薄力粉         100g
  • ベーキングパウダー    4g

作り方

今回のレシピです。

  1. バターと卵を常温に戻す。全卵は割って溶いておく。
  2. バターを練り、上白糖を混ぜる。
  3. 生クリームも加えて、全体が滑らかになるまでしっかり混ぜる。
  4. 溶いた全卵を少しづつ加えて混ぜる。
  5. ラム酒を加えて混ぜる。これ以降は軽くしか混ぜないので、全体が均一になるようにしっかり混ぜる。
  6. 薄力粉とベーキングパウダーをふるって入れ、全体をさっくり混ぜる。
  7. 型に入れ、180度で余熱したオーブンで表面が乾くまで(5分くらい)焼く。
  8. 表面中央に長辺に沿う方向に切れ込みを入れて、再度40分くらい焼く。この切れ込みは、ケーキが綺麗に膨らむようにするためのものなので、なくてもいい。
  9. 串がスッと入るようになったら完成。

実食

いい色してる

しっとりしててふわふわとした焼き上がりでした。ラム酒もいい味出してますね。おいしい。

反省と振り返り

反省と振り返りです。

  • 焼く時間について。今回は、8分程度焼いたところで切れ込みを入れた。その後40分焼こうとセットしたが、残り10分になる前に焦げ色を見て止めた。完全に時間を把握するまでは、様子を見ながら焼いた方がいい。
  • ラム酒は結構味が出るので、これ以上入れない方が良さそう。
  • バターの代わりとして、牛乳よりも油分が多そうな生クリームを選んだ。代わりは牛乳でも良かったかはわからない。生クリームがあって良かった。
  • ホットケーキミックスを使って作ってた時と比べ物にならないくらい美味しい。材料の問題なのか技量の問題なのかは不明。
  • 何か混ぜるならレーズンかも。チョコとか抹茶とか混ぜたいならラム酒はいらないかも。

おわりに

ただ食べたいだけで作り、記事にする気も全然無かったのに、美味しかったのでログを残そうと思って書きました。だから言うことも無いです。

おいしかったです!また作りたいです!(小並感)

【バレンタインデー】カカオ豆からチョコレートを作ってみた

2月14日はバレンタインデー。人々は想い人に愛を込めて、はたまた社内の方への社交辞令でしょうか、多くの人々がチョコレートを手に取ることでしょう。バレンタイン商戦の最中、デパートのショーケースには華やかな化粧箱と鮮彩な包みが並びますが、それでも腕によりをかけてキッチンに立つ方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、そんな無垢な恋する乙女に水を差す、こんなフレーズを聞いたことがありませんか?

「"手作りのチョコレート"って、市販のチョコを溶かして固めただけでしょう?」

うーん、本当に嫌な言葉ですね。まず、その発想が貧相だと思います。誰かを想って買い出しをして、キッチンに立つ。それだけで、どれだけ尊いことか。自分で作ったものを、絶対に悪く見られたくない、失敗したくない人に渡す。その勇気を見下せる神経がわかりません。


...なんて御託を並べたところで、その言葉を放つ人は何もわかってはくれないでしょう。

ならばお見せしましょう。本当の地獄を!!


この記事では、チョコレートをカカオ豆から作っていきます。簡単な目次をば。

はじめに

チョコレートの材料は、大きく分けて3つです。

これらの分量でチョコレートの種類が変わります。今回は、カカオ60%~70%のチョコレートを作りたいので、"カカオマスココアバターとココアパウダーの総重量が"全体の6~7割になるようにミルクと砂糖の量を調整します。

Tips -カカオ豆の呼称について-

カカオ豆は、状態や部位によって呼び方が変わります。以下に羅列します[1]。

Tips -チョコレートの種類-

チョコレートの『カカオ〇%』というのは、チョコレートの重量に占めるカカオ分(カカオマスココアバター、ココアパウダー)の重量で決まります[2]。一般的なチョコレートはカカオ35%~40%程度で、その中でもミルクチョコレートは乳原料が多く入ったチョコレートです。なお、ホワイトチョコレートカカオマス、ココアパウダーを含まず、カカオの実の油脂であるココアバターのみをカカオ成分として含みます。『ホワイトチョコレートはチョコレートではない』という言説は、このカカオマスとココアパウダーが入っていないことに由来します(僕は、ホワイトチョコレートはチョコレートだと思います)。

ということで、主にこの材料から作っていきます。どれもスーパーかネットで買えるものなので、計画的に購入しましょう(記事の最後に僕が買ったリンクを載せておきます)。

材料

今回使用する材料はこちらです。

これでカカオ分がおよそ60%のチョコレートができます。ちなみに、砂糖とスキムミルクの量は、過去の経験から決めました。括弧書きがある理由は、生カカオ豆を焙煎して殻を剥くと量が減るからです。カカオ豆を処理して残ったカカオニブの重さを元に再計算します。

作り方

チョコレートを作る流れを簡単に紹介します。

  1. 下準備
    • カカオ豆を洗って乾燥させる
    • ココアバターを細かく刻む
    • 粉類(粉糖とスキムミルク)をふるっておく(カカオ豆を処理すると必要な重さが変わるので、準備するのは後でいい)
  2. カカオ豆を焙煎する
  3. 焙煎したカカオ豆の殻と胚芽を取り除く(カカオニブ(胚乳)を抽出する)
  4. カカオニブをすり潰す(カカオリカーにする)
  5. カカオリカーを湯煎しながらココアバターを入れる
  6. 滑らかになったら、湯煎したまま粉類を入れてさらに混ぜる
  7. よく混ざったら、テンパリングをして型に入れる
  8. 冷蔵庫で冷やして完成

こんな感じです。案外簡単に終わりそうじゃないですか?1ヶ所だけ用語で誤魔化したので、それについてのTipsを入れてから、いざ実践です!

Tips -テンパリング

テンパリング(tempering)は、金属の"焼き戻し"の意味を持ちますが、これから転じてチョコレートを固める時の調温作業のことを指します。よくTVなどで見る、大理石の上でチョコレートを搔き回している"あれ"です。家庭では、湯煎したり水に浸けたりしてテンパリングをします。
チョコレートも油脂(ココアバター)から出来ているので、冷やすとその油脂が固まるわけですが、この時の結晶構造(固まり方)は6種類あります[3]。そして、美味しいチョコレートに適した結晶構造は、その6つのうちのたった1つです。物質が固まる時は固まるための"核"となるものが必要ですが、物質全体の結晶構造(固まり方)は、その核の結晶構造に依存します。だから、美味しいチョコレートを作るには、チョコレートに適した結晶構造を持つ核を作ってやればいいのです。これら6つの結晶(結晶構造)は固まる温度が違うため、一度温度を下げてチョコレートに適していない結晶構造を作り、再び温度を上げて、チョコレートに適していない結晶構造の核を溶かすことで、美味しいチョコレートに適した核だけを生成することができます[4]。
このテンパリングによってできる結晶は、人肌で溶ける程度の融点を持つ上に結晶の粒が細かいため、口溶け滑らかなチョコレートになります。

実践

ということで材料を買い集めました。カカオ豆はマダガスカル産です。

こう見ると材料は少ないですね

1日目

まずはカカオ豆を洗います。カカオ豆は油分が多いので、油分が溶け出さないように冷水で洗います。

Oh! れもちゃさん カカオ豆の汚れwash...キレイキレイネ...

カカオ豆は、かなり酸味がある匂いがします。洗って濡らすと、その匂いをしっかりと感じることができます。

乾かします

焙煎も一緒にしちゃいたいならオーブンを使ってもいいかも。今回は豆をしっかり乾燥させてから煎りたいので、時間をかけます。特に急ぐ理由もないですし。

カカオ豆が乾かないと作業が進められないので、今日はこの辺で終わります。

2日目

カカオ豆が完全に乾いたので、カカオ豆を焙煎します。今回はフライパンで焙煎しますが、オーブンを使って焙煎することもできます。その場合は、120度で20分程度です。

弱火です。

この工程は、チョコレートの風味を決めるのにすごく重要な工程になります。例えば、豆を焦がしちゃうと焦げ臭いチョコレートになります。

アルミホイルは邪魔だったので外しました。

パチパチと音がし始めたら、もう少し炒って焙煎は終わりです。1Kの部屋すべてがカカオ臭くなりました。今回使っていないフライパンからもカカオ臭がしてきます。ちなみに、このカカオ臭は甘い匂いではなく、カカオ豆の酸味と香ばしさが混ざった匂いです。いい匂いではない。

カカオ豆が冷めないと作業にならないので、今日はこの辺で終わりにしましょう。

3日目

カカオ豆が冷めたので、殻を剥いて胚芽を取り除いていきます。しっかり炒ってあると、殻が比較的剥きやすい状態になっていると思います。

2時間オーバーの作業もブログだと写真1枚の成果です

袋の重さを量りわすれた

殻を取り除いたカカオ豆(カカオニブ)の重さは174gでした。他の材料の計算の都合で、今回は160gとして考えます。

平日帰宅後の作業の進捗なんてこんなものです。ここからは本当に体力勝負なので、今日はこの辺で。

4日目

ココアバターは湯煎で溶かすような使い方をするので、使う前に細かく刻んでおきます。

ココアバターは油脂なので、開いた牛乳パックを使うと楽

100g買ったら100gちょっと入ってるよね

100gちょっとありますが、実際に使うのは80gくらいの予定です。

カカオ豆をすり潰していきます。

すり鉢を使います

ミルを使わない理由ですが、カカオ豆は油分を多く含むことから、すり潰すと下の写真のようにすぐに目が詰まってしまうからです。カカオ豆専用のミルなんてものもあるようですが、そんなものは持っていません。序盤に軽くフードプロセッサーを使うのはありだと思います。やりすぎると、カカオ豆の油脂でモーターに負荷が掛かりすぎるとか。使わない理由は、持っていないからです。

カカオ豆は厄介なんです

すり鉢で擦るには量が多いので、細かくなった粒子を篩で分けながら作業を進めます。

これでも粒子は大きい方なんですよね...

3時間ほど作業しましたが、疲れたのでこの辺で終わりにします。

篩にはまだこんなに残っています

篩の中に見える塊は、豆の油分で粉が固まったいわゆる"ダマ"のようなものです。すり鉢の壁にへばりついた粉を落とすと、この"ダマ"になります。

5日目

3時間程度カカオ豆をすり潰しました。

6日目

カカオ豆を湯煎で温めます。

そしてすり潰します。

油分が出てきてチョコレートらしくなってきましたね

7日目

湯煎してすり潰します。

8日目

こんなに頑張ってきましたが、すり鉢ですり潰すのは限界があります。すり鉢の目よりも細かくなることはない、ということです。もっとも、この作業はチョコレートの滑らかさを左右する大事な工程のため、製菓メーカーなんかだとデカい機械で数日単位ですり潰します。だから、チョコレートを生業にしていない人間がご家庭レベルでできるレベルは高が知れています。適当に見切りをつけて次に進みましょう。

さて、もう疲れたので、次の工程に進みます。次の作業からはすり鉢だと大変なので、容器を変えます。他の材料を混ぜてテンパリングをするので、ボウルに移しました。

ガラスである意味はあまりないですが、熱が伝わりやすいといいかも

ここに、ココアバターを入れていきます。

カカオリカーの半分の量です

湯煎しながら混ぜていきます

見た目はチョコレートですが、めちゃくちゃ苦い。

ちなみに、このカカオリカーが思ったよりもシャバシャバだったので、水が混ざったかな?とヒヤヒヤしていました。冷蔵庫で冷やしていたココアバターが結露していた?とか考えています。取り越し苦労だったようですが。(備忘録)

並行して、粉糖とスキムミルクを量ります。

粉糖はココアバターの8割

スキムミルクココアバターと同量

カカオリカーとココアバターがしっかり混ざったら、この粉類も混ぜていきます。篩った写真は撮っていないです。

粉類は数回に分けて混ぜます

これがしっかり混ざったら、やっと市販の物を買ってきて湯煎で溶かしたところと同じラインに立てます。ちなみに、クオリティは市販物を溶かしたものの方が上です。

スタート地点です

テンパリングをしていきます。悠長に写真を撮っていられる作業ではないので、最初だけお見せします。

温度計を突っ込んでテンパリング開始

今回は、温度を50度くらい→26度で2分くらい→33度としました。湯煎で温めて、氷水で冷やして、また湯煎で温めるというのを、2口のコンロに氷水のボウルと湯煎用の鍋をセットしてやりました。温度を見ながらずっと混ぜ続けるので、これだけでも一苦労です。ちなみに、コンロ2口でやるのは距離が近くて都合は良かったですが、コンロ周りがびしゃびしゃ毘沙門天になるのでオススメはしないです。

テンパリングが終わったら、モールド型に流し入れて作業終了です!

作業終了!長かった!

型に流し入れたときに零れて固まったチョコを食べた感じだと、どうやらテンパリングは成功していそうですね。よかった。

そして、型に入らなかったチョコは生チョコにでもしようかなって思っています。(追記: 生チョコにしました。本編の後に"おまけ"パートがあります。)

型に入らなかったやつ。量ったら160gありました。

 

実食

型を冷蔵庫に入れた翌日の夜。うきうきで帰宅した僕は、そっとその包みを取り出します。固まっていることを確認し、アルミホイルの上に型をひっくり返しました。

めっちゃ綺麗...

見た目には光沢もあって、すごく綺麗です。表面が滑らかなので、テンパリングも上手くいっているようです。これはチョコレートです。僕の1週間の努力の結晶です。

早速ひとつ食べてみます。口当たりがいかつい、カカオ感が強いです。もう少しココアバターが多くても良かったかもしれないです。冷蔵庫から出したばかりにしては口溶けも悪くないです。

人に渡すトッピングをするなら、溶かしたホワイトチョコなんかを細い絞り袋で絞っても綺麗かも。

これは成功と言ってもいいでしょうね。お疲れ様でした...。

反省と振り返り

今回の結果を元に工程を振り返ってみます。これは、僕含め後続者のために残しておきましょう。

  • 材料について。カカオ感が強く出ることを考えると、ココアバタースキムミルクを少し増やしてもいいかもしれない。ただ、カカオ豆から作ったと主張したいなら、カカオ感が強いのは得なのでこれでいいと思う。生クリームを少しだけ混ぜるのもありかも。
  • 道具について。すり鉢を用いたが、カカオの細かさの限界を感じた。乳鉢を試したい。しかしその分、作業時間が増えることを覚悟する必要がある。
  • 日を跨いで作業することが多かったため、カカオリカーを放置して中断し、固まったカカオリカーを湯煎で溶かしてから作業を再開することが何度かあった。これは、別に悪く働いたとは思わない。ただ、固める時には容器の壁に広く張り付けるようにして固めておいた方が、溶かす時間が短くて済む。
  • すり鉢から容器を移したのは良かったと思う。ただし、湯煎などで曇った側面から水が入る可能性があるので、そこはかなり注意する必要がある。料理用ヘラも扱いやすかった。
  • テンパリングについて。温度の推移は良かったと思う。撹拌し続けることが大事との記事を読んだのでやってみたところ、大変ではあったが成功したと見てよさそうな結果が得られた。

おわりに

今回は、バレンタインデーということで、生カカオ豆からチョコレートを作ってみました。作ってみました、といっても、実はこうしてカカオ豆からチョコレートを作るのは今回で4回目なんです。過去3回はいずれも大学生の頃の話ですが。大学生だとこの時期は春休みで日中すら暇なんですよね。改めて今やってみると、やはり時間がかかるし、気力が持たないです。決して軽いノリでできることではなかったですね。

もちろん、市販のチョコレートから手作りのチョコを作るのも、軽いノリでできる話ではないんです。企画してレシピを調べて買い出しして実行するというその気持ちこそが尊いものです。『溶かして固めただけで手作り』なんて言わず、そのお相手の気持ちそのものに対して、もっと真摯に向き合うべきです。というか、それ以前に、市販のチョコレートよりも前の工程からチョコレートを手作りしようなんて、そんな酔狂なことは物好きが自分のためにやるようなことです。間違っても他人に強いるようなことではありません。この記事をここまで読んでくださった方なら、それに異論は無いと思います。

この記事も、バレンタインデーの熱が冷めないうちに出せたら良かったんですが。どうにも道具が揃わなくて少し出遅れてしまいました。でも3月14日にはホワイトデーもありますので、それまでに出せたしまあ良しとしましょう!


至る所に甘味が並ぶこの季節、ぜひ皆様も甘い一時をお過ごしください。

参考文献

[1] 月島食品QMS公式サイト: https://tsukishima-qms.jp/
[2] 明治HP Q&A: https://qa.meiji.co.jp/faq/show/132?site_domain=default
[3] KEK: チョコレートを美味しくする物理: https://www.kek.jp/ja/newsroom/2013/02/12/1000/
[4] 古谷野哲夫: チョコレートの結晶学: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcrsj/56/5/56_319/_pdf

購入元

リンクが生きています。ご注意ください。

おまけ: 生チョコ作り

余ったチョコレートを使って生チョコを作りました。

材料など
  • チョコレート(上の残り) 160g
  • 牛乳           88g
  • ココアパウダー     適量
  • 参考 George ジョージ:【概要欄に補足あり】バレンタインに勝ちが確定する生チョコ|牛乳で作る手作りチョコ簡単コーティングのレシピ: https://www.youtube.com/watch?v=uyNIjhD_8jI

 

作り方
  1. チョコレートを湯煎する
  2. 牛乳を温める
  3. 混ぜて冷やして終わり!

型は牛乳パックを縦に割ったものを使いました。

できた生チョコがこちら!

簡単生チョコ!

とても美味しかったです!口当たりが良くて滑らかで、それでいてカカオ感がしっかり出ています。トッピングにココアパウダーを振ってもいいかもですね!

外せない用事は予約する

「おい、もうこんな時間だ。帰るぞ」



『は、はい』



「まったく、休日出勤して21時まで残ってる奴がいるかよ」



『すみません、今週中にこれだけは終わらせたくて...。もう少しで終わりますから。』



「そうか...」





『すみません、お待たせしました。終わりました。』



「お、終わったか。じゃあ帰るぞ」
「もうこんな時間だし、腹減ったろう。ラーメンでも食べて帰らないか?」



『あー...すみません。せっかくで申し訳ないんですけど、今日はちょっと帰らなきゃいけなくて...。』



「おぉ、そうか。なんかあるのか。」



『はい、ちょっと予約が...。』



「予約?」



『はい、予約です。』



「おー、予約か...。こんな時間にか。どっか飲みにでも行くのか。」



『いえ、そういうわけではないんですけど...。』



「えーじゃあどういうわけなんだよ、予約があるんだろう?」



『はい、予約があって...。』



「だから何の予約なんだよ?外せない用事なんだろう?」



『外せないかって言われたら微妙なんですけど...』


『炊飯の予約が...。』

りんごタルトが食べたかった

定時直前に、ふと思いました。

「りんごタルトが食べたい...。」

ということでタイトル通りです。ではいきます。

下調べ

今回は、アップルフィリングとカスタードクリームが入ったタルトが食べたいので、そんな感じのものを作っていきます。

参考にしたサイトはこちら

タルト生地を寝かせる時間がしっかりかかること、カスタードクリームとアップルフィリングを焦がさないようにすることに注意しましょう。

材料

材料、作り方ともに、カスタードクリーム、アップルフィリング、タルト生地に分けて書きます。

カスタードクリーム
  • 卵黄           2個
  • 牛乳          250ml
  • 上白糖          60g
  • 薄力粉          20g
  • バニラエッセンス    適量

 

アップルフィリング
  • りんご          3個
  • 上白糖         100g
  • バニラエッセンス    適量
  • 無塩バター        20g

 

タルト生地
  • 無塩バター        70g
  • アーモンドパウダー    25g
  • 上白糖          50g
  • 食塩          少し
  • 全卵(生地に混ぜる用)   30g
  • 全卵(塗る用)   混ぜた残り
  • 薄力粉         125g

これでいきましょう。ちなみに、型は18cmのものを使います。

作り方

今回のレシピです。

カスタードクリーム
  1. 鍋に牛乳とバニラエッセンスを入れて火にかける。鍋の側面に細かい気泡ができるくらいまで加熱する。
  2. ボウルに卵黄と上白糖を入れて、卵黄が白っぽくなるまで混ぜる。
  3. さらに薄力粉を加えて、粉が見えなくなる程度まで軽く混ぜる。
  4. 加熱した牛乳をボウルに、ゆっくり少しずつ注ぐ(一気に混ぜると卵が凝固するため)。
  5. 4の液を鍋に濾して入れて、混ぜながら中火で加熱する。
  6. 焦げ付かないように頑張って鍋底から混ぜる。
  7. ゾル状になったら終わり。適当な容器に移して、カスタードクリームの表面に密着するようにラップをかけて終了。

 

アップルフィリング
  1. りんごの皮を剥き、種と芯を取り除く。適当な大きさに切り分ける。
  2. フライパンに上白糖を入れて、キャラメル状になるまで弱火で加熱する。
  3. りんごを加える。水分が出てくるので、そこにバターとバニラエッセンスを入れる。
  4. 水分がなくなるまで煮詰めて終了。

 

タルト生地
  1. バターを常温に戻す。
  2. バターを混ぜてクリーム状にする。
  3. アーモンドパウダー、上白糖、食塩を加えて混ぜる。
  4. 全卵を数回に分けて入れて混ぜる。
  5. 薄力粉を数回に分けて入れて混ぜる。
  6. そぼろ状になったら、ラップに開けて包む。
  7. 1時間以上冷蔵庫で寝かせる。
  8. 生地を伸ばして、タルト生地に張る。
  9. 生地にフォークで穴を開けて、冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。
  10. 生地にアルミ箔を敷き、タルト石を入れてから160度で余熱したオーブンで35分焼く。
  11. タルト生地に全卵を塗って、140度のオーブンで5分程度焼く(乾燥防止)。

 

りんごタルト
  1. タルトにカスタードクリームを入れる。
  2. さらにアップルフィリングを入れる。
  3. 170度で余熱したオーブンで30分焼いて終了。

タルト生地が面倒くさいですね。タルト生地は買ってもいいかも。

実践

一日目

生地を寝かせるまでと、りんごを煮るところまでやります。

りんご3個分。ハローキティと同じ重さ。

 

バターは常温に戻します

 

上白糖を火にかけます

 

キャラメル色になりました

 

りんごを加えて、これくらいまで煮ます

 

バターと粉類を混ぜました

 

卵を加えました

 

薄力粉を混ぜました

 

冷蔵庫で寝かせます!

これで一日目は終了とします。

二日目

タルト生地を型に入れて、カスタードクリームを作ります。

牛乳にバニラエッセンスを入れて加熱します

 

黄身と砂糖

 

白っぽくなります

 

小麦粉はさっくりと混ぜます

 

加熱した牛乳と混ぜて鍋へ

 

 

ボウルに移してラップして終了です。

 

次はタルト生地です。ラップの芯で伸ばしていきます。

 

これくらいの大きさまで伸ばしました。

 

型に突っ込んで

 

 

穴を開けて、冷蔵庫に眠らせます。

今日はこれくらいにしておきましょう。ちなみにカスタードクリームはよく作るんですが、味見したところ今回のカスタードクリームは今までで一番の出来でした。たぶん薄力粉入れてから混ぜる回数が少なかったからかも。

三日目

タルト生地を焼いて、りんごタルトを完成させるところまでやります。

生地にアルミ箔を敷いて、タルト石を入れます(これはタルト石です)。

 

オーブンでブンします

 

40分焼きました。思ったより焼けていなかったので、タルト石を外してもう10分焼いてみます。

 

これでいきます

 

卵を塗りました。再びオーブンでブンします。

 

焼きました。あまり見た目に変化はないかも。

 

カスタードクリームをたくさん乗せます。

 

アップルフィリングをたくさん乗せます。もう一度オーブンでブンしたら完成です。

実食

長かったですね。食べたいな~と思ってから作り終わるまでに2日かかりました。タルト生地を作るのも今回が初めてだったんですよね。

ということで、完成したりんごタルトがこちらになります!

焼けた!!

 

味なんですが、文句なしで美味しいです!食べたかったりんごタルトが今ここに!少し欲を言えば、もう少し酸味の強いりんごを使うと幸せだったかもしれませんね。有名な品種だと紅玉とか。でも、このりんごは貰い物だったので、これで良しとしましょう。

反省と振り返り

最後に反省と振り返りです。

  • 生地について。この時期なのもあってバターを常温に戻しても温度が低すぎたため、混ぜるのに苦労した。電子レンジなどの使用を検討するべき。その場合、ガラスのボウルを使う必要がある。
  • 生地について。タルト石は米で代用できる。その米は、チャーハンとかリゾットとかがっつり調理して食べようと思う。
  • カスタードクリームについて。薄力粉入れた後の混ぜる工程は、極力最小限にする。今回は意識的に混ぜる回数を少なくしたためか、かなり美味しいのができた。
  • タルト生地作りは楽しかったが、正直面倒だった。生地を買うことも含めて、楽さと楽しさのバランスが取れるところを探してみるのもいいと思う。

おわりに

今回は、タルト生地、カスタードクリーム、アップルフィリング、全部作るところからりんごタルトを作ってみました。タルト生地作りは経験しておきたかったから、できてよかったです!

お菓子作りをする人の宿命として、お菓子の原材料が全てわかる/記録されているというものがあります。記事の後半は作ったりんごタルトの1/4を食べながら執筆していたんですけど、これだけでも単純計算で砂糖を50g、バターを20gとちょっと食べたことになるんですよね。カスタードクリーム、アップルフィリング、タルト生地、どれも全部使ったわけではないとはいえ、妥当な概算だと思います。そこら辺の怪談よりも怖い話ですね、運動してきます...。

"無駄"の話

"無駄なこと"というと、何を思い浮かべるだろう。ポケモン対戦を嗜む方々ならば、"無駄急所(確定数が変わらないときの急所に当たった)"なんて言葉がすぐに思い浮かんだりするだろうか。試験が近い学生なら、「テストに出ないなら"無駄な勉強"」、この社会を動かす一端を担う人なら、「もっと効率的にできるはずなのにしないとは"無駄な労働"」、「定時で帰れるのに上司の目があるからする"無駄な残業"」、そんな言葉も言いたくなるかもしれない。人にはその人なりの、"無駄"があると思う。

僕は、"本当の意味で無駄なこと"を探すのは、極めて難しいと思う。ということで、上に挙げた例を回収しよう。まず、"無駄急所"についてだ。これは、刹那的には明らかに無駄である。もっとも、「無駄急所だ」と騒ぐ時には相手を倒した時なので、本当に無駄だったかは諸説の場合も少なくないだろう。次に、"無駄な勉強"、"無駄な労働"、"無駄な残業"についてだ。これらは、どれももしかしたらどこかで役に立つかもしれない...!なんてつまらないことを言うつもりはない。そんなことをしたり顔で書くくらいならブログを閉じる。この3つについては、"無駄"ではなくて"有害"だ。なぜなら、他の何かを圧迫しているからだ。本当にテストに出ないというなら、もっと確実にテストに出そうな基礎や重要と言われた場所をもう1周するべきだ。その業務がより効率的にできるはずなら、今後のためにも改善するべきだ。上司の目を気にして帰宅後の時間を削っている場合ではないのだ。だから、これらは"無駄"より質の悪い"有害"である。

この"有害"の視点を加えるだけで、"無駄"というのは難しくなると思う。"無駄"は、ニュートラルであるべきだと思う。


さて、もうひとつ視点を加えよう。これは冒頭に述べた、"その人なりの無駄"、要するに誰目線で有益/無駄/有害なのか、ということだ。

結論から言ってしまえば、『その人が納得していれば何でもいい』のである。これで話を終わらせてもいいが、ここはもう少し書ける場所なので書いてみようと思う。

僕は、断捨離は苦手なくせに熱しやすく冷めやすい人間だ。だから、「いつか使うかも」なんて言って使いもしない物を取っておくことがある。これは、客観的に見るならば、邪魔になっているので"有害"だ。ただ、僕は納得しているので、どちらかというと"有益"だ。本当に"無駄"だとか"邪魔(有害)"だとか思ったら、その時に手放せばいい。これで納得しているので、これで許してほしいなあなんて思っている。


さて、世の中には拾っても邪魔にならないものがある。それは、『知識と経験』である。もちろん、これらは心の持ち方次第では毒にも薬にもなる。しかし、これらは嵩張るものでもなければ、取られて減るものでもない。当たり前ではあるが、集合知として見れば、無尽蔵な財産である。
なぜこの話題を出したか。別に読者を怪しい宗教に招こうとかいうものではない。それは、これらは客観的に見ると"無駄"なはずだからである。というのも、これがあるばかりに脳の容量を圧迫することもなければ、常に役立っているわけでもない。いくら期待されようとも使わないなら、あってもなくても変わらないニュートラルなものである。

『知識は無駄である』という主張をもっと確かなものにしよう。人間も、広い意味では動物である。動物は、子孫を残すことで自分の種族を未来に繋いでいく。しかし、そこには食物連鎖をはじめとした有限な資材の奪い合いがあって、生存競争がある。地球上の動物は、その生存競争に必死になっている。人間を除いて。
気付けば人間は、その生存競争においてはグリーン車に乗っている。だから、生存競争には不要な享楽に時間を割くことができるのである。そうしてできた余白をニュートラルなことで埋めることができている。知識を手に入れた結果として自爆気味だとかいうのは置いておいて。僕は、よく「学業は金持ちの道楽だ」と言っては顰蹙を買っている。だが、これも動物の生存競争と同じことである。生き抜くために必要なことを放棄して胡坐をかいていられるのは、それだけの余白があるからだ。


しかし、そんな知識や経験も、少しだけ有益に見えることがある。その例を話したい。僕は、水族館が好きだ。都内の水族館にふらっと行くことがある。すみだ水族館サンシャイン水族館は、同じ建物内にポケモンセンターがあるので、ポケモンが好きなら行ったことがある人も少なくないだろう。そのサンシャイン水族館に行ったときの話だ。
僕は、水族館に行くエレベータを待っていた。隣には、幼い娘さん2人とその父親の3人がいた。そして父親の手には、半壊した犬のバルーンアートがあった。聞こえてくる話によると、どうやら娘さんがバルーンアートで遊んでいたら崩れてしまったようだ。父親は、頑張って直そうとしている。僕もエレベータを待つ間とても暇だったので様子を見ていたが、どうにも直せそうにない。僕は、その娘さんと、何より父親が不憫だった。そして、エレベータが来るまでに直せると踏んだ僕は、直してみることにした。その父親に声を掛けて、サッと直して返してみた。その手腕を驚かれたが、僕はただ楽しかった。本当にただの自己満足である。
でも、そんなバルーンアートだって、昔は親に「風船が擦れる音が嫌だからやめて」と散々言われた。風船が割れれば、うるさいと嫌な顔をされた。親から見れば、言ってしまえば有害だったのだ。それでも、僕が楽しかったから、そんな余白の埋め方をしただけだった。親から見れば有害で、その時の自分を顧みれば無駄だったバルーンアートの知識と経験が、刹那的ではあるが有益なものになった。


僕は、"無駄"を悪いことだとは一切思わない。無駄だからできること、無駄だから都合がいいことというのは、いくらでもあると思う。突き詰めれば大抵のことはどうせ無駄である。だからこそ、無駄だからと目くじらを立てることなく、無駄を無駄と分かりながらも楽しめる人になれたらいいなと思う。