AIの記事

昔から問われる命題に、次のようなものがある。

『もしもこの世に自我がある人間が自分だけだったとしたら、それを証明することができるか?』

例えば、あなたの隣の人が、実はあなたの感情に合わせて反応を返してくれるように設計されたロボットだったとする。その時、あなたはそれをちゃんと否定することができるだろうか。僕は、それはきっととても難しいことだと思う。そして、これから先、それを否定するのはもっと難しい時代になると思う。



最近、とあるAIが流行っている。どうやら質問を投げると、なかなか正確に、しかもかなり自然な文章で答えてくれるという。少し驚いた使い方としては、勉強を教えてくれるとか、プログラミングやパワーポイントの資料作成を代行してくれるとか、さらにはメールの代筆なんかもできるという。その名も、"ChatGPT"。そして、今回筆を執ったのは、その後すぐに登場した"GPT-4"が、恐ろしく高性能であるとの噂を聞いたからである。ちなみに、今挙げた2つのAIは、ブラウザ上から誰でも使用することができるようだ。この記事の冒頭に挙げた例でも、昔なら『隣の人はロボットってこと?ドラえもん?』などと問い直されただろうが、今では『隣の人はAIってこと?』と言われるに間違いない。それほどAIというものは世の中に浸透している。このブログの読者にはポケモントレーナーも多いと思うが、現時点での最新作『ポケモン スカーレット・バイオレット』にもAIのキャラクターが登場したことは記憶に新しいだろう。



さて、ブログの題にもある通り、この記事ではAIの話をしたい。もっと言うと、僕は僕の数少ない友人がAIではないことを証明したい。ということで、まずはAIについて明確にしようと思う。ただし、工学の専門用語を並べただけのブログ記事はあまりに無価値なので、若干の不正確さを覚悟して親しみやすさ重視で書いてみることにする。念のため記しておくが、このブログには文献的な価値は無い。だから、参考文献も引かない。井戸端会議程度の、眉唾なものだと思ってほしい。ただ、僕も一応はこの"畑"の人間であることは追記しておく。

AIという言葉を検索してみると、こんな文言が出てくる。

"AIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略です。コンピュータがデータを分析し、推論(知識を基に、新しい結論を得ること)や判断、最適化提案、課題定義や解決、学習(情報から将来使えそうな知識を見つけること)などを行う、人間の知的能力を模倣する技術を意味します。"(KEYENCE, IoT用語辞典, 一部抜粋)

唐突だが、僕はAIという言葉が嫌いである。なぜなら、そのAIという言葉自体はふわっとした意味しか持たないくせに、最先端のすごいものに聞こえるという狡さを持っているからである。上に抜粋した文言を見れば、『コンピュータでデータを分析して人間の知的能力を模倣する』ものであると分かる。しかし、この『データ』も『人間の知的能力』も、何を指しているのかがどこも明確ではない。家電の広告で『この商品はAIを使っています』なんて言おうものなら、『この料理には野菜が入っています』くらいのアバウトさしか得られない。それに、上の文言は巷で聞くAIとは意味が違う気もするが...。まあ要するに、そんなものを野放しにしていいはずがないということである。


もっとAIというものを明確にしたい。そうしないと、数少ない友人がAIではないことを証明できない。AIには種類があって、それぞれ異なる特徴を持っている。ということで、実際に今のAIに使われている技術を大別して列挙してみる。とは言っても、専門用語は並べないと約束したので、ゲームに例えてちょっと変な書き方をしてみる。どれが何を言っているか分かる人は、僕の表現能力の限界がここだということで許してほしい。なお、実用的には、複数種類の合わせ技なんてこともあるらしいが、話がややこしくなるので、一旦考えないことにする。

  • 廃人型
  • 実況動画視聴エアプ型
  • TAS型

それぞれを解説していく。まずは廃人型。これは、とにかく試行錯誤を繰り返して最適解を見つけるというものだ。クリアすれば報酬を得て、リスクが高まる行動や失敗をするとペナルティが与えられる。例えばポケモン対戦の場合、相手のポケモンを倒したら報酬を得て、こちらの手持ちが倒れたらペナルティが与えられる、みたいな感じだ。この報酬を最大化してペナルティを回避するように試行錯誤する。これは、ボードゲームの対戦CPUや信号機を使った交通網の整理、掃除ロボットなどに使われている。

次に、実況動画視聴エアプ型。これは、実践はせずにとにかく情報を集めて、そこから傾向を見出すものだ。上に挙げたIoT用語辞典の説明はこれのことを言っていると思うのだが、その通り強力で実用例も多い。音声や画像の識別(声紋認証や顔認証など)、Amazonの広告などが身近な例である。実はこの項目は、その視聴した動画の試合に勝敗をラベル付けするかとか、その関連動画まで勝手に漁るかとか、もっと類別するべきなのだが、分かりやすさのためにここで断念した。

最後に、TAS型。どのタイミングでどんな操作をすればどう反映されるかが分かっているため、その最適な操作を常に与え続ける方法だ。一見「最強じゃん!」と思うかもしれないが、向き不向きがはっきりしているというのが正確なところだろうか。上のふたつとは少々毛色が違うが、僕はこれが一番スマートで好きだ。自動車の運転やロボットの手先を動かすのに使われている。


以上でAIを何となく知った気になったので、さっそく友人がAIでないことを証明したい。簡単なところから考えよう。まず、TAS型は無理だと思う。もしもその友人がTAS型なら、その友人は全知全能である必要がある。彼は少なくともゼウスではない。次に、廃人型は難しい。なぜなら、その友人が廃人型AIなら、何が報酬とペナルティのトリガーになるか分からないはずなので、試行錯誤の末に大事故を起こす可能性があるからだ。今のところ、突然致命傷を負ったような話も聞かないから恐らく違うだろう。最後に、実況動画視聴エアプ型。これは難しい。エアプでないことを証明する方法なんて見当すらつかない...。昔から言われている命題なので、証明するのが難しいのも当然なのかもしれない。



さて最後に。この記事では、AIを少し分かった気になれそうな話をした。AIについて、少しでも興味を持っていただけたら幸いである。AIについて詳しい方々にとっては退屈な記事だったかもしれないが、その辺に転がっている記事なんてそんなものだと割り切ってほしい。

それにしても、いい時代になったものだ。この程度なら専門性を要する内容でも簡単に調べることができる。インターネットを覗けば、誰かが情報を与えてくれている。それを拾っていい感じに編集すれば、誰だってそれなりに自然な記事を書くことができる。今の時代、画面の向こうで筆を走らせているのが人間とは限らない。